メトロポリタン歌劇場管弦楽団 ジェイムズ・レヴァイン指揮 DVD7枚 定価　37500円 ワーグナーが楽譜に書き込んだ「ト書き」になるべく忠実に従った写実的舞台構築の傑作として評価の高い映像作品。 《ニーベルングの指環》というと、宇宙を舞台にしたり、産業革命の時代を舞台にしたりと、これまでにかなり実験的な演出も試みられたが、ここでのオットー・シェンクによるオーソドックスな演出は、ワーグナーの音楽にピタリと寄り添った、重厚で見ごたえのあるもの。 その奇を衒ったところのない美しく神話的な演出は、中世の叙事詩「ニーベルングの歌」や北方神話などを題材に、神々と人間の確執を壮大な規模で描きあげたこの作品にふさわしいもので、レヴァインによるスケール雄大で力強く迫力に富む音楽づくりとの相性も抜群。 加えてこの上演では、予算潤沢なメトロポリタン・オペラならではの豪華歌手陣の出演で、ベーレンスやノーマン、イェルザレム、モリス、サルミネン、モルといった20世紀終盤の最高のワーグナー歌手たちがズラリと揃っていて壮観。