趣味の書籍が増え、保管スペースがなくなってきたため断捨離に踏み切りました。こちら、長期の自宅保管品のため経年劣化と思われる色褪せ、擦れ、小傷などがございます。また中身には鉛筆で細かいマークがあります。通読には問題なしですが神経質な方のご購入はお控え願います。 ▶︎ジョストの藝術は、佐々木大輔による深い洞察を提供する文学作品です。 スクロヴェーニ礼拝堂（アレーナ礼拝堂）は、イタリアのパドヴァにある小さな礼拝堂ですが、ジョットの壁画によって美術史上極めて重要な存在となっています。 1. ジョットによる革新的な表現 ジョット・ディ・ボンドーネ（1267年頃–1337年）は、ゴシック美術からルネサンス美術へと移行する橋渡しをした画家です。スクロヴェーニ礼拝堂の壁画（1303-1305年頃制作）は、それまでの中世的な平面的な表現から脱し、人物の立体感や空間の奥行きを感じさせる表現を導入しました。 2. 「人間らしさ」の表現 この壁画の登場人物たちは、感情豊かであり、リアルな人間らしさを持っています。たとえば、 •「ユダの接吻」では、ユダが裏切りのキスをする瞬間が緊張感をもって描かれ、群衆の動きもダイナミックです。 •「悲しみの聖母」では、イエスの死を嘆く聖母マリアの表情が、従来の図像よりも劇的で感動的に描かれています。 3. 壁全体がストーリーボードのように機能 礼拝堂の壁画は、聖母マリアとキリストの生涯を時系列に沿って描いており、壁全体がひとつの大きな物語のようになっています。特に、視線を誘導する構図や人物の動きが巧みに配置されており、見る者を物語の世界に引き込みます。 4. 「最後の審判」と青の効果 祭壇の正面には、「最後の審判」が大きく描かれており、天国と地獄の対比が非常にドラマチックです。また、壁画全体に使われている鮮やかなラピスラズリの青（「スクロヴェーニ・ブルー」とも呼ばれる）は、空間に神聖な雰囲気を与え、見る者に深い印象を残します。 スクロヴェーニ礼拝堂の壁画の魅力は、ジョットが生み出した革新的な遠近表現、リアルな人間描写、ドラマチックな構成、そして神聖な青の色彩にあります。壁全体がまるで一つの映画のように展開し、見る者を圧倒するこの空間は、中世からルネサンスへと向かう美術の大きな転換点を象徴しています。 #ジョット